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蒸気配管の基本とメンテナンスのポイント
蒸気配管システムは、適切な設計や施工が行われていないと、無駄なエネルギー消費やウォーターハンマーのような設備破損に破損をもたらすトラブルを引き起こします。
本記事では、蒸気配管の選定から、効率的な設計・施工、メンテナンスまで、基本的な知識をご説明いたします。
①蒸気配管の基本概念
蒸気配管の役割とは

蒸気配管は、ボイラーで作られた高温高圧の蒸気を、動力源など必要な場所へ効率よく運ぶための設備です。各工程に個別の熱源を置くよりも、ボイラーから一括して蒸気を送る方が、安全性や温度・動力の集中管理において優れているため使用されます。
なぜ「蒸気」なのか
産業界で蒸気が使用されるのは、水が気体になる際に潜熱(気化熱)という大きなエネルギーを蓄えるからです。この潜熱を利用することで、効率的な加熱ができます。また、圧力によって温度が決まる特性があるため、細かく温度を調整できるのも特長です。
②蒸気配管の材料の種類と選定
配管の選定においては、使用する流体の圧力や温度、設置環境、コストやメンテナンス性を総合的に考える必要があります。代表的な配管として、SGP管(配管用炭素鋼管)、圧力配管用炭素鋼鋼管、ステンレス鋼管があり、それぞれに適した用途と選定上の注意点があります。
配管用炭素鋼管(SGP管)
SGP管(配管用炭素鋼管)は、耐圧性・耐熱性に優れており、比較的安価で入手しやすいことから、1.0MPaG以下の一般的な蒸気配管に多く使用されています。蒸気配管に亜鉛めっきされた白管を使用すると、高温条件下で亜鉛が剥離し、その剥離片がバルブやスチームトラップに詰まり、トラブルの原因となります。そのため蒸気配管やドレン配管に使用する場合は、亜鉛めっきのない黒管を選定する必要があります。
圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG管)
圧力配管用炭素鋼鋼管は、SGP管よりも高い耐圧性能を持ち、高圧環境での使用に適しています。10.0MPaG・350℃以下の高圧蒸気配管などで採用されることが多く、番号によって肉厚が規定されています。番号が大きくなるほど肉厚が増し、より高い圧力に耐えられるため、使用条件に応じて適切な肉厚を選定する必要があります。
ステンレス鋼配管
ステンレス鋼管は、耐食性と耐久性に優れており、食品・医薬品工場など衛生管理が重視される現場や、腐食が発生しやすい還水系統に適しています。初期コストは他の配管材に比べて高くなりますが、サビや腐食によるトラブルが大幅に減少するため、結果として長期的なメンテナンスコストの削減につながります。
③蒸気配管の設計と施工における基本的なポイント
ドレンの排除
蒸気配管内に発生するドレンは可能な限り早く、確実に排除することが重要です。ドレンをスムーズに流すため、勾配は、適切な配管支持を行った上で、先下がりで1/200から1/100程度が基準になります。支持間隔が広いと、自重によるたわみが生じ、勾配が取れていても低い箇所にドレンが滞留することがあります。スチームトラップは、蒸気配管の直線部であっても30〜50m間隔に設置し、制御弁や減圧弁の手前、配管の立ち上がりの手前など、ドレンが滞留しやすい箇所には必ず設置する必要があります。
>>スチームトラップについて詳しくはこちら
熱膨張への対応
金属配管は高温になると熱膨張で伸びるため、配管の変形や破損を防ぐためには、エキスパンションジョイントの設置や、配管をU字型にするループ配管(ベンド管)などで、熱膨張の逃げ場を作る必要があります。また蒸気配管の熱膨張における固定支持は、配管の伸縮を制御し、過大な応力による破損や漏洩を防ぐために極めて重要です。固定支持は、伸縮を吸収する伸縮継手(ベローズなど)や、配管の「U字型」などの「の」の字型に曲げて可とう性を利用する方法(ベンド)と連携し、熱による変位が配管システム全体に悪影響を与えないよう、適切な位置と強度で配管を躯体に固定・支持する役割があるため、重要です。
適切な口径選定
蒸気の流速が速すぎると、圧力損失や騒音、摩耗の原因になります。そのため飽和蒸気の場合、流速は30m/sec.程度を目安となるよう、選定を行いましょう。また長距離配管の場合は、末端での圧力不足が起きないよう圧力損失計算が必要です。
施工・運用時の注意点
始動時は、バルブの急開操作を避ける必要があります。急に開くと蒸気が一気に流入し、発生した大量のドレンがトラップの処理能力を超え、大きなウォーターハンマーを引き起こします。また、始動時はこれに加え、配管内のエアベントにも十分に注意する必要があります。空気が残っていると熱伝達が阻害され、昇温が遅れる原因になります。
④蒸気配管のトラブル対策の基本
定期点検はコスト削減に直結
蒸気配管による不具合と損失は、主に放熱と漏れが原因です。保温材の破損を放置すれば熱が逃げ続けてしまいます。またスチームトラップやバルブからの蒸気漏れは、さらに損失を膨れ上がらせます。例えば、トラップ1台からのわずかな漏れでも、年間数千時間の稼働時間と蒸気単価で計算すると、年間10万円以上の損失を生む可能性があります。そのため日々の点検や保全は必要不可欠です。
ウォーターハンマー対策
ウォーターハンマーは、蒸気配管内のドレンが蒸気に押されて高速になり、配管や機器に激突し、破損につながる現象です。ウォーターハンマーの対策は以下の通りです。
蒸気供給配管におけるウォーターハンマー対策
始動時の発生が多いため、まずはスチームトラップが正常に作動しているか確認してください。また長距離配管では、わずかでも逆勾配になっている箇所があるとドレンが溜まります。長距離配管でウォーターハンマーが発生した場合は、勾配の確認も行いましょう。
還水管(ドレン回収管)のウォーターハンマー対策
還水管は、高温蒸気と低温ドレンが混在しやすく、対策が難しい箇所です。還水管で起きるウォーターハンマーに抜本的な解決策はありませんが、改善策として、チャッキバルブの設置があげられます。チャッキバルブを適切な位置に配置することで、逆流による衝撃を軽減できます。
停止時のサビ対策
炭素鋼管(SGPなど)は、運転停止時に酸素と水が蒸気配管内に存在すると、すぐに腐食が進みます。長期間停止する際は、完全に水を抜くか、空気を入れない対策が必要です。設計段階から水抜きバルブを設けておくと、水抜きを簡単に行うことができます。
⑤蒸気配管の安全対策の基本
事故を防ぐための4つのポイント
- 保護装置の設置:異常昇圧を防ぐ安全弁や圧力調整弁が正常に機能しているか定期確認を行いましょう。
- 火傷防止:人が触れる可能性のある場所は、確実に保温施工を行いましょう。
- 「急」な操作の禁止:バルブ操作は、ゆっくり行うのが鉄則です。ウォーターハンマーは人為的な急操作で発生することも多々あるため、ゆっくりと操作を行いましょう。
- 日常点検の習慣化:微小な蒸気漏れや異音は、大きなトラブルの前兆です。日常点検で些細な異変も見逃さないようにしましょう。
当社の蒸気配管施工事例
空調用蒸気配管減圧弁移設工事
減圧弁が天井裏の狭い場所に設置されており、日常の操作や定期メンテナンスが非常に困難であると、ご相談を頂きました。また、万が一の故障時に備え、バックアップ機能がない点にも不安を感じておられました。
そのため、まず詳細な配管設計と専用の架台設計を行い、屋外への移設を実施しました。減圧弁を2台並列に設置し、それぞれにバイパス配管も設け、万全のバックアップ体制を構築しました。また天井裏での危険な作業がなくなり、メンテナンス性が向上しました。
蒸気配管アスベスト撤去
化学製品を製造する工場様より、蒸気配管の補修をご相談をいただきました。現場では蒸気漏れが発生していましたが、問題の配管保温材が1977年施工のもので、アスベストを含有している可能性が高い状況でした。そのため、まず事前調査を行い、アスベスト含有の「みなし判断」としました。これにより分析調査の時間を短縮し、迅速に作業へ移行することができました。蒸気停止の1日間で、法規に準拠した厳重な管理(レベル2)のもと安全に撤去作業を実施し、最終処分まで完了いたしました。
蒸気ドレン配管トラップ更新
ある飲料メーカー様より、蒸気ドレン配管の蒸気トラップが正常に作動せず、前後のバルブを固く閉じても蒸気漏れが発生している状態であるとご相談を頂きました。お客様ご自身での修理も検討されましたが、蒸気停止時間が1日と非常に限られていたため、確実かつ迅速な対応が可能な弊社にご依頼いただきました。
そこで当社は、ドレンによる腐食を考慮し、材質は高耐久なステンレス(SUS304)を選定しました。施工後は漏れも完全に止まり、トラップも正常に機能しています。材質変更により、配管全体の耐久性も向上しました。また限られた作業時間内で更新を完了いたしました。
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蒸気配管の施工、メンテナンスは関東電気・計装工事.comにお任せください
今回は、蒸気配管の基本的な知識についてご説明いたしました。
関東電気・計装工事.comを運営する望月工業所は、蒸気配管の設計から施工まで一貫して対応しております。お客様の工場に関する調査分析から、最適な配管ルートの設計、適切な周辺設備の提案も合わせて行います。将来的な展開や、効率化・コスト削減を考慮し、プランニングからお任せいただけます。また、施工後の蒸気漏れの修理や、バルブ交換など、アフターフォローについても当社で承ることが可能です。最適な設備の選定から施工まで対応いたしますので、蒸気配管の施工、メンテナンスについては、ぜひお気軽に望月工業所にご相談ください。
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