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幹線工事における幹線引きの施工方法や注意点を解説!
電気を使用する上で欠かせないのが、電気工事です。電気工事と一口に言っても様々な種類がありますが、今回は「幹線工事」の中でも特に重要な「幹線引き」について解説していきます。
幹線設備とは
幹線設備とは、電力会社から供給された電気を建物内の各所に分配するための設備です。高圧受電設備から分電盤に至るまでの電線や配管、それに付随する機器などを含みます。
幹線工事とは
幹線工事とは、この幹線設備を設置する工事のことです。建物の規模や用途によって、適切な幹線設備を選定し、設計・施工する必要があります。幹線工事は、電気を使用する上で非常に重要な工事であり、安全かつ確実な電力供給を確保するために、専門的な知識と技術を持った電気工事会社が行う必要があります。
幹線引きとは
幹線工事の中でも、特に重要なのが「幹線引き」です。幹線引きとは、電力会社から供給された電気を、建物の各所に分配するための電線を敷設する作業のことです。幹線引きは、電線の種類や太さ、配線ルートなどを考慮しながら、慎重に行う必要があります。施工不良があると、電力供給が不安定になったり、火災などの事故につながる可能性もあるため、専門的な知識と技術を持った電気工事士が作業を行います。
幹線引きの施工方法
幹線引きの施工方法は、主に以下の4つの方式があります。
①枝状方式
樹木の枝のように、1本の幹線から分岐して各負荷に電力を供給していく方式です。最もシンプルな構造であり、設計や施工が容易なため、コストを抑えることができます。この方式は、構造が分かりやすく、設計・施工が容易で工期が短いというメリットがあります。また、材料費や施工費が安く、コストパフォーマンスに優れているため、小規模な建物や負荷の少ない場所に適しています。しかし、幹線で障害が発生した場合、その分岐以降の広範囲にわたって停電の影響が及ぶというデメリットがあります。また、負荷が増加した場合、幹線に流れる電流が増加し、電圧降下が大きくなる可能性があります。さらに、幹線に接続される負荷が増えるほど、個々の負荷の状況把握が難しくなるという側面もあります。
②ブロック枝状方式
枝状方式を改良した方式で、幹線を複数のブロックに分け、各ブロックに遮断器を設置することで、停電の影響範囲をブロック内に限定することができます。この方式は、枝状方式に比べて停電の影響範囲を縮小できるというメリットがあります。また、各ブロックに遮断器を設置することで、保守・点検が容易になります。さらに、負荷の増減や変更に柔軟に対応できるという点もメリットです。一方、枝状方式に比べて遮断器などの設備が増えるため、コストが高くなるというデメリットがあります。また、ブロックの分割方法によっては、一部のブロックに負荷が集中し、電圧降下が大きくなる可能性もあります。
③単独方式
幹線から各負荷へ個別に配線する方式です。負荷ごとに遮断器を設置するため、停電の影響範囲を最小限に抑えられます。負荷の重要度に応じて、信頼性の高い電源供給を実現できます。この方式のメリットは、負荷ごとに遮断器を設置することで、停電の影響範囲を最小限に抑えられる点にあります。また、他の負荷の影響を受けにくく、安定した電力供給が可能です。さらに、負荷の増減や変更に柔軟に対応できるという点も大きなメリットです。しかし、負荷ごとに配線するため、配線量が多くなり、コストが高くなるというデメリットがあります。また、配線ルートが複雑になり、施工管理が難しくなるという側面もあります。さらに、スペース効率が悪くなる場合があるという点も考慮が必要です。
④ループ方式
幹線を環状に配線し、2方向から電力を供給する方式です。一部に障害が発生しても、もう一方のルートから電力を供給できるため、高い信頼性を確保できます。病院やデータセンターなど、停電が許されない施設に適しています。この方式は、信頼性が高く、一部に障害が発生しても電力を供給できるという点が最大のメリットです。また、電圧降下を抑制できる点や、負荷のバランスを取りやすい点もメリットとして挙げられます。しかし、他の方式に比べて配線量が多くなり、コストが高くなるというデメリットがあります。また、設計・施工が複雑になるという点も考慮が必要です。
配線種類別の注意点
幹線引きの配線は、建物の種類や用途によって、適切な種類や太さを選択する必要があります。
家庭などの小規模の場合
一般的な住宅では、VVFケーブルと呼ばれるビニル被覆電線を使用することが多いです。エアコンやIHクッキングヒーターなど、消費電力の大きい機器には、専用の回路を設ける必要があります。分電盤の設置場所や回路数などは、将来的な増設も見据えて計画する必要があります。
オフィスなどの中規模の場合
オフィスビルでは、電灯やコンセントだけでなく、OA機器や通信設備など、様々な負荷に対応する必要があります。電力需要が大きいため、幹線は太く、遮断器の容量も大きくする必要があります。レイアウト変更や設備の増設に対応しやすいように、配線ルートや分電盤の配置を工夫する必要があります。
工場などの大型規模の場合
工場では、動力設備や生産設備など、大容量の電力を必要とする機器が多く使用されます。幹線は非常に太くなり、高圧受電設備が必要となる場合もあります。機械の配置や稼働状況を考慮して、安全で効率的な配線を行う必要があります。ノイズ対策や雷対策なども重要となります。
幹線工事の注意点
幹線工事は、電気設備の基幹となる部分であり、施工不良は重大な事故につながる可能性があります。そのため、以下の点に注意する必要があります。
- 資格を持った電気工事会社に依頼する
- 設計段階で、将来的な電力需要の変化を考慮する
- 施工前に、現場の状況をしっかりと確認する
- 配線は、適切な種類と太さを選択する
- 施工後は、必ず検査を行い、安全を確認する
今回は、幹線工事における幹線引きの施工方法や注意点について解説しました。幹線工事は、建物の種類や用途によって、適切な設計・施工を行う必要があります。電気工事会社に依頼する際は、これらの点を踏まえ、信頼できる業者を選びましょう。
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