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配管ラックとは|製作が必要になる条件と設計・材質選定のポイント
工場やプラントで多くの配管を安全に通すには、配管を支える「配管ラック」が欠かせません。ラックが不十分だと、配管が自重でたわんで勾配が乱れたり、熱による伸び縮みや地震の揺れで継手が破損し、漏れたりするおそれがあります。
この記事では、配管ラックの製作が必要になる条件と設計のポイント、材質の選び方、既設工場に後から設置する際の注意点を、当社の施工事例とあわせて解説します。
配管ラックとは
配管ラックとは、H形鋼や山形鋼などの形鋼を組んでつくる、複数の配管をまとめて支える鋼製の構造物です。吊りバンドやUボルトなどで配管を1本ずつ支える「配管サポート」に対し、ラックは複数の配管をまとめて受け止めます。
| 配管サポート | 配管ラック | |
|---|---|---|
| 支える配管 | 1本ずつ | 複数をまとめて |
| 支持の取り方 | 既存の梁・天井・壁に取り付ける | 自体が自立する、または既存構造物に組み付ける |
| 向いている場面 | 配管の本数が少なく、近くに支持を取れる構造物がある | 配管が多い、支持を取れる構造物がない、機器周りに配管が集中する |
形式には門型、壁や柱から張り出すL型(片持ち)、天吊り型などがあり、配管が多い場合は多段式にします。
配管ラックの製作が必要になる条件
次のような場合は、既製の支持金具だけでは支えきれず、現場に合わせたラックの製作が必要です。
- 複数の配管を並行して通す
- 屋外や建屋の間など、壁や天井で支持を取れない場所に配管を通す
- ポンプやタンクなどの機器周りに、配管やバルブが集中する
- 蒸気配管など、熱による伸び縮みが大きい配管を通す
- バルブ操作や点検のための高さや足場を確保したい
こうした条件では、配管の重さや熱による動き、既存設備との取り合いを踏まえてラックを設計する必要があります。次の章では、設計・製作で押さえるべきポイントを具体的に解説します。
配管ラックを設計・製作するときの4つのポイント
1. 荷重を見込んで支持間隔を決める
ラックの強度と支持間隔は、配管に加え、中の流体や保温材、バルブの重さまで含めて検討します。屋外では風や積雪の荷重も加わります。
支持間隔の目安として、公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)では、鋼管の横走り管を、呼び径に応じて2m以下または3m以下の間隔で支持すると定めています(口径が大きいほど間隔は広くなります)。間隔が広すぎると配管がたわんで継手に負担がかかるため、荷重とたわみを確認して間隔を決めます。
ラックを床に据える場合は、ラックと配管の重さ及び地震力を受けられる基礎やアンカーボルトになっているかもあわせて確認します。
2. 熱による伸び縮みを逃がす
配管用炭素鋼鋼管(SGP)の線膨張係数は約1.16×10⁻⁵/℃で、長さ30mなら温度が100℃上がると約35mm伸びます。すべての支持点で固定すると伸びの逃げ場がなくなり、配管の変形や、継手・機器への過大な負荷につながります。
そのため、配管を動かないようにする「固定点」、軸方向の動きだけを許す「ガイド」、配管が滑って動ける「スライド支持」を使い分け、伸縮継手やU字型の配管と組み合わせて伸びを吸収します。
当社が工場で施工した大口径の塩ビ排水配管(300A)では、排水条件を調べて配管径と熱伸縮対策を決め、サポートを製作したうえで、伸縮継手を適切な位置に配置して熱伸縮による漏れに備えました。
>>大口径塩ビ排水配管 敷設工事の詳細はこちら
>>蒸気配管の基本とメンテナンスのポイント
3. 勾配を保てる高さにする
排水管やドレン管は、液体を自然に流すために勾配をつけて配管します。たとえば排水横管では、呼び径65以下の場合で1/50以上の勾配が必要です。蒸気配管も、ドレンを流すため先下がりの勾配をつけます。
勾配は、ラックの高さや受け金物の位置でつくります。高さに誤差があると所定の勾配が取れず、配管がたわむと逆勾配になって液体がたまります。
4. 操作・点検のしやすさを確保する
ラックは、日々のバルブ操作や点検、将来の配管の追加まで見据えて計画します。バルブは操作しやすい位置にまとめ、点検用の通路を確保し、ラックの段や幅には増設の余裕を持たせておくと安心です。
点検用の足場も、常設にすると配管のメンテナンスの妨げになる場合があります。当社が工場の熱交換器まわりに設置した足場では、取り外しが必要な床部分に軽量なFRP製グレーチングを採用し、定期整備の作業環境を改善しました。
>>熱交換器メンテナンス用 グレーチング足場設置の詳細はこちら
配管ラックの材質の選び方
ラックの材質は、設置環境(屋内か屋外か、薬品や湿気の有無、求められる清浄度)と、載せる配管の材質で選びます。
| 材質・仕上げ | 特徴 | 向いている場所 |
|---|---|---|
| 鋼材+塗装 | 加工しやすく、コストを抑えやすい。塗膜の劣化に応じて再塗装が必要 | 屋内の一般的な工場 |
| 鋼材+亜鉛めっき | 表面を亜鉛で覆い、さびにくくする。めっき後に現場で溶接すると、その部分の補修が必要 | 屋外、湿気の多い場所 |
| ステンレス(SUS) | さびにくく、清掃しやすい。鋼材より高価 | 食品・医薬品工場、水を多く使う場所 |
| FRP・樹脂 | 軽く、酸やアルカリに強い。強度や耐熱性は鋼材に劣るため、荷重と温度の確認が必要 | 薬品を扱う場所 |
材質の組み合わせにも注意が必要です。ステンレス配管を鋼製のラックに直接載せると、水分のある環境では鋼材側が腐食しやすくなります(異種金属接触腐食)。接触部に絶縁材を挟むなどの対策をとります。また、保温する配管は、保温材の厚みを見込んで受け金物の位置や配管の間隔を決めます。
当社は、SUS・FRP・樹脂・亜鉛めっきなどの材質で、ラックやタンクの製作に対応しています。
既設工場に後からラックを設置するときの注意点
配管の増設や設備の入れ替えでは、稼働中の工場に後からラックを設置するケースが多くあります。新設とは異なる注意点があります。
現地調査で取り合いを実測する
既設工場では、図面と現場の状態が一致していないことが少なくありません。既存の配管やダクト、ケーブルラック、通路やフォークリフトの動線との干渉を、現地で実測して確認します。
取り付け先の構造物が荷重に耐えられるか確認する
既存の梁や床、屋根にラックを取り付ける場合は、追加するラックと配管の重さに耐えられるかを確認します。必要に応じて、建物の管理者や設計者にも確認します。
火気や粉じんを抑えた施工方法を選ぶ
稼働中の工場では、溶接などの火気作業が制限されることがあります。部材をあらかじめ工場で加工し、現場ではボルト接合を中心に組み立てると、火気作業と現場での工期を減らせます。防爆エリアやクリーンルームでは、工具や発塵の管理も必要です。
>>防爆エリアで設備工事を行う際の注意点
>>クリーンルーム内で設備工事を行う際の注意点
停止期間に合わせて工程を組む
既存配管の切り替えやつなぎ込みは、設備を止めて行う必要があります。定期修理などの停止期間に合わせて、ラックの製作を事前に終えておくと、限られた期間で工事を完了できます。
>>シャットダウンメンテナンスの計画の立て方と工期遅延を防ぐポイント
配管ラックの設計・製作の流れ
当社では、次の流れでラックの設計・製作から配管工事まで対応します。
- お打ち合わせ・現地調査:配管の本数や口径、流体、設置場所を確認し、現場を調査します
- 配管設計・ラック設計:荷重、支持間隔、熱伸縮、勾配、保温の種類を検討し、図面を作成します
- お見積もり・施工計画:見積書と施工計画書を作成します
- 製作:設計図にもとづきラックを製作します
- 据付・配管工事:ラックを据え付け、配管を敷設します
- 試験・お引き渡し:お客様立ち会いのもとテストを行い、お引き渡しします
望月工業所のラック製作・施工事例
当社が手がけた、ラックの設計・製作を含む施工事例を紹介します。
研究施設|空調用蒸気配管 減圧弁の移設(専用ラックの設計・製作)

課題:減圧弁が天井裏の狭い場所にあり、日常の操作や定期メンテナンスが難しい状態でした。故障に備えるバックアップもありませんでした。
対応:減圧弁の選定と配管設計にあわせて専用のラックを設計・製作し、屋外へ移設して据え付けました(工期1か月)。
効果:減圧弁2台を並列に設置し、それぞれにバイパス配管を設けてバックアップ体制を整えました。天井裏での作業がなくなり、2台を交互に運転することで計画的に点検できるようになっています。
>>空調用蒸気配管減圧弁移設工事の詳細はこちら
>>その他の施工事例はこちら
ご相談の前に整理しておくと検討がスムーズな情報
ラックの検討には、次の情報があると具体的なご提案がしやすくなります。すべて揃っていなくても、現地調査で確認しますのでご安心ください。
- 配管の本数・口径・材質
- 流体の種類と温度・圧力
- 設置場所(屋内か屋外か、床・壁・天井のどこで支持を取れるか)
- 既設の図面と現場の写真
- 工事ができる時期(設備を止められる期間の有無)
「配管が増えて今の支持では足りない」「稼働中の工場にラックを追加したい」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
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>>蒸気配管の運用・保全技術ハンドブックをダウンロード
まとめ
配管ラックは、配管の重さに加え、熱による伸び縮みや地震の揺れを受け止める設備です。支持間隔・熱伸縮・勾配・操作性を踏まえた設計と、環境に合った材質の検討が品質を左右します。後から設置する場合は、現地調査と工程の組み方も重要です。
関東・東海 プラント工事.comは、静岡・横浜を拠点に、関東・東海エリアの1都13県で配管・電気・計装工事に対応しています。ラックの設計・製作から配管工事まで一貫して対応しますので、お気軽にご相談ください。
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